今回は、ターゲットとなる各国都市部の 富裕層の所得水準 について考えてみました。
高い日本産品を購入するのは一体誰か?
日本産品を輸出するにあたって、小売店での販売価格は、輸送費・関税・中間マージンなどが加わり、国内での仕入価格の約2~3倍にもなります。
日本産品は高品質・安心安全だからと言っても、現地にも類似する商品もあるでしょう。
小売価格で2倍以上の価格差であっても、日本産品を選ぶのは、こだわりと購買力のある顧客層、つまり富裕層であると想定されます。
国際統計では「各国の一人当たりGDP」や「購買力平価」が参考になります。
しかし、これらの統計から「日本産品を購入するかもしれない富裕層」の所得水準を想定するのは、かなり無理があります。
というのも、例えば、富裕層と低所得層の格差や、都市部と農村部の所得格差が存在しているからです。
とは言っても、やはり、都市部の富裕層の購買力そのものを知りたい!
各国都市部の管理職の平均給与
調べてみると、JETROに「アジア主要都市の賃金水準」を定点観測したデータがありました。
これは元々、製造業が海外進出する際の賃金目安として使用されています。
視点を変えると、中間管理職の所得水準(=購買力)を知ることができます。
(元データは、現地の日系企業であり、サンプル数が少ないので注意してください。)
(出典)JETRO「アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較」(2014年5月)
このデータからわかることは、
- シンガポールの中間管理職の所得は、日本と同等かそれ以上であること。
- 香港、ソウル(韓国)、台北(台湾)、クアラルンプール(マレーシア)、ニューデリー(インド)の順に大きいこと。
都市部の富裕層の所得水準(想定値)
このJETROデータには、また一般工職の所得データも含まれています。
この中間管理職の所得水準を基準として、役員クラス(=富裕層)の所得水準を想定することも可能かもしれません。
少々強引ですが、例えば、「一般工職と中間管理職の格差は、中間管理職と経営層の格差に比例する」という仮定を置いてみます。
すると、役員クラス(=富裕層)の所得水準を試算することができます。
このデータからは、以下のことを推測することができます。
- 月収1万ドルを超えているのは、シンガポールとバンガロール(インド)。
- 月収6000ドルを超えているのは、ニューデリー(インド)、香港、クアラルンプール(マレーシア)、ヤンゴン(ミャンマー)。
- これに続くのが、ソウル(韓国)、バンコック(タイ)、カラチ(パキスタン)、ビエンチャン(ラオス)。
いかがでしょうか?
推測値ではありますが、海外進出先を考える上で目安にはなるのではないでしょうか。
ライター: 植草 啓和(JBマーケット)
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